検索順位を上げても、思うようにアクセスが伸びない。そんな違和感を覚えているオウンドメディア担当者の方は少なくありません。背景にあるのが、AIによる即時回答が主流となり、検索結果画面だけで情報収集が完結する「ゼロクリック時代」の到来です。
日本ではすでに検索の6割以上がゼロクリックと言われ、従来型SEOだけでは成果を出しにくくなっています。一方で、AI検索経由のユーザーは情報感度や意欲が高く、コンバージョン率が高いというデータも明らかになっています。
本記事では、こうした環境変化を踏まえ、AIに引用・推薦されるための新戦略「GEO(生成エンジン最適化)」と、その中核となる「ミニスニペット」に焦点を当てます。オウンドメディアの価値をこれからも伸ばしていくために、明日から実践できる考え方と設計の全体像をわかりやすく解説します。
検索行動はどう変わったのか:日本で進むゼロクリック化の実態
日本の検索行動は、ここ数年で質的に大きく変化しています。最大の特徴は、検索結果からWebサイトへ遷移しない「ゼロクリック検索」が主流になりつつある点です。GoogleのAIオーバービューや対話型AIの普及により、ユーザーは検索結果画面上で答えを得ることに慣れ始めています。
株式会社ヴァリューズとnote株式会社の共同調査(2025年9月)によれば、日本国内のGoogle検索におけるゼロクリック検索の割合は60%を超えています。月間約61.8億回の検索のうち、Webサイト訪問に至ったのは22.6億回にとどまり、**約3分の2の検索行動が検索画面内で完結**している計算です。
この変化は、ユーザーの「調べ方」がキーワード入力から、即答を期待する行動へ移行した結果といえます。特にAIオーバービューでは、複数サイトの情報を統合した要約が最初に表示され、比較的簡単な疑問はそこで解消されてしまいます。
| 項目 | 従来型検索 | 現在の検索 |
|---|---|---|
| 主な操作 | キーワード入力 | 質問文・会話 |
| 回答取得 | リンク先で確認 | 検索画面内で即時 |
| クリックの必要性 | 高い | 低い |
オルグロー株式会社の調査でも、AIオーバービューが表示された場合、約77%のユーザーが内容に目を通すとされています。一方で、その多くはリンクをクリックせず、概要だけを読んで行動を終えています。**「表示されること」と「クリックされること」が切り離された**のが現在の検索体験です。
世代別に見ると、この傾向は若年層ほど顕著です。サイバーエージェントの調査では、10代の生成AI検索利用率は64.1%に達しており、「ググる」よりも「AIに聞く」行動が自然になっています。検索結果一覧を比較検討するプロセス自体が省略されつつあります。
オウンドメディアにとって重要なのは、トラフィック減少という表層的な現象だけを見ることではありません。検索行動の変化は、**ユーザーがどこで意思決定の第一歩を踏んでいるのか**が変わったことを意味します。検索画面内で信頼できる情報源として認識されるかどうかが、今後の成果を大きく左右します。
ゼロクリック化は一過性のトレンドではなく、日本の検索行動に定着し始めた構造変化です。この現実を正確に理解することが、次の一手を考える前提条件になります。
オウンドメディアは本当に危機なのか:AI検索がもたらす新しい好機

AI検索の普及によって「オウンドメディアはもう読まれないのではないか」という危機感が広がっています。実際、株式会社ヴァリューズとnoteの共同調査によれば、日本のGoogle検索の6割以上がゼロクリックで完結しており、従来型SEOに依存したメディア運営が限界を迎えているのは事実です。
しかし、この変化はオウンドメディアの終わりではありません。**検索結果の役割が「送客」から「信頼できる知識供給」へと進化した**と捉えることで、新しい好機が見えてきます。AIは無作為に情報を生成しているのではなく、信頼性・専門性が高い一次情報を優先的に参照しています。
Semrushの調査では、AI検索経由でサイトを訪れたユーザーのコンバージョン率は、従来検索の約4.4倍に達すると報告されています。これは、AIの要約を読んだ上で「さらに詳しく知りたい」と判断した、意図の明確なユーザーだけが流入しているためです。
| 観点 | 従来のSEO | AI検索時代 |
|---|---|---|
| 主目的 | クリック獲得 | 引用・推薦 |
| 評価軸 | 順位・PV | 信頼性・専門性 |
| 成果指標 | 流入数 | CV率・認知 |
Faber Companyの月岡氏も、AI検索からの流入数は激減する一方で、質は大きく向上すると指摘しています。つまり、オウンドメディアは「大量集客メディア」から「意思決定を後押しする専門メディア」への転換を迫られているのです。
特に日本市場では、若年層を中心に検索行動が急速にAIへシフトしています。サイバーエージェントの調査では、10代の生成AI検索利用率は64%を超えており、**AIに引用されない情報は、そもそも存在しないのと同じ**という状況が生まれつつあります。
この環境下でオウンドメディアが果たすべき役割は明確です。自社ならではのデータ、専門家の知見、実務に根ざした具体的な解説を継続的に発信することで、AIから「信頼できる情報源」として認識されることです。危機に見える今こそ、長期的な競争優位を築く絶好のタイミングだと言えます。
GEOとは何か:SEOとの違いと注目される理由
GEOとは、生成AIが提示する回答の中に、自社の情報やブランドが引用・要約される状態をつくるための最適化手法です。従来のSEOが検索結果一覧での順位向上を目的としていたのに対し、GEOはAIそのものに信頼できる情報源として認識されることを目指します。検索結果を「見せる」戦略から、回答を「語らせる」戦略への転換だと言えます。
この背景には、ゼロクリックサーチの急増があります。株式会社ヴァリューズとnoteの共同調査によれば、日本のGoogle検索の6割以上が検索画面内で完結しています。AIオーバービューや対話型検索が普及したことで、ユーザーはリンクを比較検討する前に、まずAIの要約を読む行動へ移行しています。
この状況下では、SEOで上位表示されていてもクリックされないケースが増えます。一方GEOでは、AI回答内で引用されることで、たとえ流入数が少なくても、高い意図を持つユーザーとの接点を獲得できます。Semrushの調査でも、AI検索経由ユーザーのコンバージョン率は従来検索の約4倍と報告されています。
SEOとGEOの違いを整理すると、目的と評価軸が大きく異なります。SEOは検索エンジンのアルゴリズムを意識しますが、GEOではRAGと呼ばれる仕組みを通じ、AIがどの情報を引用しやすいかが重要になります。
| 観点 | SEO | GEO |
|---|---|---|
| 主な目的 | 検索順位の向上 | AI回答内での引用 |
| 評価指標 | 順位・CTR | 引用頻度・言及 |
| 成果の形 | サイト流入 | 認知・信頼の獲得 |
特に日本市場では、若年層ほどAI検索への移行が進んでいます。サイバーエージェントの調査では、10代の生成AI検索利用率は6割を超えています。将来の主要顧客との接点を確保するための先行投資として、GEOは無視できない存在になっています。
- 検索順位よりもAIの回答構造を意識する
- 一次情報や明確な定義を重視する
- クリック後ではなく回答内で価値を伝える
SEOが不要になったわけではありませんが、GEOはその延長線上にある別軸の最適化です。オウンドメディアは今、検索エンジンとAIの両方に向けて語りかける時代に入っています。
AI検索の仕組みを理解する:RAGとAIオーバービューの基本構造

AI検索を正しく理解するための核心が、RAGとAIオーバービューの基本構造です。現在の主要なAI検索エンジンは、従来の検索アルゴリズムとは異なり、回答を生成する前提として複数の情報源を横断的に扱います。**その中核技術がRAG(検索拡張生成)**です。
RAGは、生成AIが単独で知識を思い出す仕組みではありません。検索エンジンのインデックスから関連性の高いWebページを取得し、その中から回答に使える断片だけを抽出して、生成モデルに渡します。Googleの技術解説やSemrushの分析によれば、この断片はページ全体ではなく、意味的に区切られたテキスト単位で評価されています。
このRAGの上に構築されている代表例がGoogleのAIオーバービューです。AIオーバービューは、単一ページを引用する強調スニペットとは異なり、複数サイトの情報を統合し、新しい文章として要約を提示します。そのため、情報の正確性だけでなく、どの断片が回答素材として選ばれるかが極めて重要になります。
| 要素 | RAG | AIオーバービュー |
|---|---|---|
| 役割 | 情報取得と生成の基盤 | ユーザーに見える回答表示 |
| 情報源 | 検索インデックス上の複数ページ | RAGで抽出された複数ソース |
| 特徴 | 断片単位で評価 | 統合・要約された文章 |
AIオーバービューがゼロクリックを生みやすい理由も、この構造にあります。ユーザーの質問に対し、RAGで集めた情報をAIが即座に統合するため、多くのケースで検索結果画面内だけで疑問が解消されます。株式会社ヴァリューズとnoteの共同調査が示すように、日本ではこの形式が検索行動の主流になりつつあります。
一方で、AIオーバービューは万能ではありません。AIは信頼性を担保するため、権威性や構造が明確な情報を優先的に扱います。Google検索セントラルの説明でも、AIはHTML構造や明示的な区切りを強く参照するとされています。**つまり、RAGとAIオーバービューの理解は、AIに選ばれる情報設計の前提条件**になります。
- AIはページ全体ではなく断片を評価する
- AIオーバービューは複数ソースを前提に生成される
- 構造が曖昧な情報は統合過程で脱落しやすい
この仕組みを理解することは、単なる技術知識ではありません。オウンドメディアにとっては、自社の情報がAIの回答素材として採用されるかどうかを左右する判断軸になります。RAGとAIオーバービューの基本構造を押さえることが、AI検索時代の情報発信の出発点になります。
ミニスニペット戦略の全体像:AIに引用される情報単位とは
ミニスニペット戦略の全体像を理解するうえで最も重要なのは、AIにとって「引用しやすい情報」とは何かという視点に立つことです。AI検索やAIオーバービューは、記事全体の文脈や熱量を評価しているわけではありません。RAGの仕組みに基づき、ページを細かい情報単位に分解し、その中から「回答として再利用可能な断片」を抽出しています。
このときAIが探しているのは、曖昧な解説やストーリーではなく、単体で意味が完結し、事実として扱える情報の最小単位です。これがミニスニペットの本質であり、従来のSEOにおける「文章のうまさ」や「網羅性」とは評価軸が異なります。
Semrushによれば、AIに引用されやすい情報には共通点があり、定義・数値・手順・比較といった形式が特に多いとされています。これらはAIが再構成しやすく、他の情報と組み合わせても意味が崩れにくいためです。
| 情報単位の種類 | AIからの扱われ方 | 引用されやすさ |
|---|---|---|
| 定義文 | そのまま回答の冒頭に使われる | 高い |
| 数値・統計 | 事実根拠として挿入される | 非常に高い |
| 手順リスト | 要約・整理して再提示される | 高い |
| 感想・考察 | 文脈依存が強く省略されやすい | 低い |
つまりミニスニペット戦略とは、記事を単なる「読み物」として設計するのではなく、AIが部品として再利用できる知識モジュールの集合体として再設計することを意味します。この発想転換がないままでは、どれだけ良質な記事を書いてもAIの回答には採用されにくくなります。
さらに重要なのは、日本市場特有のAI利用傾向です。オルグローの調査によれば、AIオーバービューが表示された場合、約77%のユーザーが内容を確認しています。一方で、日本のユーザーはハルシネーションへの警戒心が強く、情報の出どころが曖昧な回答は信頼されにくい傾向があります。
そのため、AIに引用される情報単位には、次の条件を同時に満たす設計が求められます。
- 一文目だけで結論や定義が理解できること
- 数値や固有名詞など、事実として検証可能であること
- 誰の視点・どの立場の情報かが明確であること
ミニスニペット戦略の全体像を一言で表すなら、AIに選ばれるための情報単位設計です。ページ単位、記事単位の最適化から一段階進み、AIがどの文を、どの理由で引用するのかを逆算してコンテンツを組み立てる。この視点こそが、ゼロクリック時代のオウンドメディアにおける競争優位を生み出します。
構造で差がつく:HTMLと構造化データが果たす役割
AI検索時代において、見出し設計の巧拙は単なる読みやすさの問題ではありません。HTML構造と構造化データは、コンテンツをAIに「正しく理解させるための設計図」として機能します。RAG型のAIは文章を流し読みするのではなく、HTMLタグを手がかりに意味のある情報ブロックを抽出しています。
特に見出しタグは、情報の階層と主題を示す重要なシグナルです。Google Search Centralの技術解説によれば、見出し直下の段落は「その見出しに対する直接回答」として評価されやすいとされています。つまり、見出しは装飾ではなく、AIとの対話インターフェースです。
HTML構造で差がつく代表例が、段落・リスト・テーブルの使い分けです。SemrushのAI引用分析では、箇条書きやテーブルで整理された情報は、通常の文章よりも高頻度でAI回答に再利用される傾向が示されています。
- 定義や結論:pタグで簡潔に記述
- 手順や条件:olやulで分解
- 比較や要件:tableで構造化
加えて、構造化データはHTMLだけでは伝えきれない意味を補強します。FAQPageやHowToといったSchema Markupは、検索結果上の表示が縮小しても、RAGのRetrieval段階で高品質なデータ源として機能し続けると、Google公式ブログでも説明されています。
| 要素 | 主な役割 | AIへの効果 |
|---|---|---|
| 見出しタグ | 話題と階層の定義 | 質問と回答の紐付け |
| リスト・表 | 情報の分解と整理 | 事実抽出の精度向上 |
| 構造化データ | 意味の明示 | 信頼できる引用元として認識 |
重要なのは、これらをSEOテクニックとして小手先で使うのではなく、編集設計そのものに組み込むことです。見出し→即結論→補足説明という型をHTMLとスキーマで一貫させることで、AIにも人にも理解しやすい構造が生まれます。
日本市場ではAIの回答精度に慎重なユーザーが多く、出典の明確さが信頼性に直結します。構造化された見出しとデータは、AIが引用時に文脈と出所を保ったまま要約する助けとなり、結果としてオウンドメディアの専門性を可視化します。
AIに選ばれる文章の条件:Snippet-abilityを高めるライティング思考
GEOの成果を正しく評価するためには、従来のSEOと同じ物差しを使わないことが重要です。ゼロクリックが前提となるAI検索では、流入数の増減だけを追うと、本質的な成果を見誤ります。そのため、このセクションでは「見えない成果」をどう可視化し、意思決定につなげるかに焦点を当てます。
まず実務で取り組みやすいのが、Google Search Consoleを用いた間接的な分析です。Practical Ecommerceによれば、AIオーバービューに表示された可能性が高いクエリは「平均掲載順位が1〜2位なのに、CTRが極端に低い」という特徴を持ちます。これは検索結果画面内でユーザーの疑問が解決し、クリックが発生しなかった状態を示唆します。
| 指標の状態 | 読み取れる示唆 |
|---|---|
| 掲載順位が高い | AIが情報源として評価している可能性 |
| CTRが低い | ゼロクリックで回答が完結している可能性 |
このようなクエリを特定したら、クリックされないことを「失敗」と捉えるのではなく、AI上でのブランド露出が安定している成功シグナルとして評価します。ミニスニペット内にブランド名や独自データが明示されているかを点検し、インプレッションの最大化を狙います。
次に重要なのが「シェア・オブ・モデル(SOM)」という新しい概念です。これは、特定の質問をAIに投げた際、回答の中に自社がどの程度含まれるかという占有率を指します。Faber Companyなどが提唱する方法では、ChatGPTやGemini、Perplexityに同一クエリを定期的に入力し、回答内容を記録・比較します。
- 自社名や自社データが言及されているか
- 競合と並列で扱われているか、単独で引用されているか
- 回答の文脈がポジティブか中立か
この定点観測を続けることで、検索順位では測れなかった「AI内での認知ポジション」を把握できます。Semrushの調査でも、AIに頻繁に引用されるドメインほど、後続の指名検索や直接訪問が増える傾向が示されています。
最後に、流入が発生した場合の評価軸も見直します。AI検索経由の訪問者は、Semrushのデータによれば従来検索の約4.4倍のコンバージョン率を示します。そのためKPIはPV数ではなく、コンバージョン率、滞在時間、スクロール深度といったエンゲージメント指標に重点を移します。
AIは要約で満足したユーザーをふるいにかけ、本当に深い情報を求める層だけをサイトに送客します。だからこそ、GEOの効果測定とは「量が減った理由」を嘆く作業ではなく、「質が高まった証拠」を拾い上げる分析プロセスだと言えます。
日本市場ならではのGEO設計:世代差と信頼性への向き合い方
日本市場でGEOを設計する際に見落とせないのが、世代ごとの検索行動の差と、情報に対する信頼の置き方の違いです。生成AI検索は一様に受け入れられているわけではなく、年齢層によって期待値も警戒心も大きく異なります。その差を前提にコンテンツを設計できるかどうかが、オウンドメディアの成果を左右します。
サイバーエージェントの調査によれば、10代の生成AI検索利用率は64%を超えています。一方、60代以上では半数以上がAI検索機能を認知していないという結果が出ています。このギャップは単なるITリテラシーの差ではなく、「どこまでを信用の起点にするか」という価値観の違いとして捉える必要があります。
| 世代 | 主な検索起点 | 信頼の判断軸 |
|---|---|---|
| Z世代 | 生成AI・対話型検索 | 要点の明快さと一貫性 |
| 30〜40代 | 検索+比較記事 | 具体性と実体験 |
| 60代以上 | 従来検索・公式サイト | 運営主体と権威性 |
若年層は、AIが要約した情報を「前提知識」として受け取り、その上で深掘りするかを判断します。そのため、GEOでは結論が明確で、矛盾のないミニスニペットが強く求められます。曖昧な表現や前提条件の多い文章は、信頼できない情報として即座に切り捨てられます。
一方で、日本のユーザー全体にはハルシネーションへの警戒感が根強くあります。オルグローの調査でも、AI概要を「必ず信頼する」と答えた層は限定的で、多くは内容次第で判断すると回答しています。ここで重要になるのが、AIの回答文脈の中で、どのように自社が「信頼できる出典」として認識されるかです。
具体的には、以下のような工夫が世代横断で有効です。
- 調査主体や監修者を明示し、誰の情報かをはっきりさせる
- 年次や法改正など、情報の鮮度を明確にする
- 断定的だが根拠の見える文章構造にする
Faber Companyの月岡氏が指摘するように、AI検索経由のユーザーは量は少なくても意図が明確です。だからこそ、AIに引用される段階で信頼を獲得できていなければ、その後の行動にはつながりません。世代差を理解したGEO設計とは、単なる技術対応ではなく、日本人特有の慎重な意思決定プロセスに寄り添う設計だと言えます。
成果をどう測るか:ゼロクリック時代のKPIと評価指標
ゼロクリックが常態化した現在、成果測定の考え方そのものを更新しなければ、オウンドメディアの価値を正しく評価できません。**PVやセッション数だけを追うKPI設計は、AI検索時代には不十分です。**重要なのは「クリックされなかった価値」をどう捉え、可視化するかです。
株式会社ヴァリューズとnoteの共同調査によれば、日本の検索の60%以上がゼロクリックで完結しています。この環境下では、検索結果やAIオーバービュー上で情報が引用・要約された時点で、すでにユーザー接点は発生しています。つまり、**流入前の露出フェーズそのものを成果として測る視点**が不可欠になります。
| 評価軸 | 従来SEO | ゼロクリック時代 |
|---|---|---|
| 主要KPI | PV・CTR | 表示回数・引用有無 |
| 価値の源泉 | 訪問数 | 認知・信頼形成 |
| 評価単位 | ページ | 情報スニペット |
具体的な実務では、Google Search Consoleの活用が出発点になります。掲載順位が高いにもかかわらずCTRが極端に低いクエリは、AIオーバービューや強調表示で回答が完結している可能性が高い状態です。**このインプレッション数の維持・増加は、ブランド想起の蓄積として評価すべき成果**です。
さらに近年注目されている指標が「シェア・オブ・モデル」です。これはChatGPTやGemini、Perplexityなどに特定の質問を投げた際、自社名や自社データが回答内にどの程度含まれるかを定点観測する考え方です。SemrushやFaber Companyも、AI回答内での引用頻度を新たな競争軸として提示しています。
もちろん、クリックが完全に無価値になるわけではありません。Semrushの調査によれば、AI検索経由の訪問者は従来検索と比べてコンバージョン率が約4.4倍高いとされています。そのためKPIは以下のように再設計すると実態に即します。
- AI検索経由ユーザーのCVR
- 平均滞在時間やスクロール深度
- 資料DLや指名検索の増加率
これらは「少数だが意欲の高い流入」を正しく評価するための指標です。**ゼロクリック時代の成果測定とは、量を追う分析から、影響力と質を測る分析への転換**に他なりません。オウンドメディアのKPIは、AI時代のユーザー行動に合わせて進化させる必要があります。
