「SEOを頑張っているのに、検索流入が伸びない」「以前より記事が読まれなくなった」──そんな違和感を覚えていませんか。

2024年以降、GoogleのAI Overviews(AIO)の本格展開により、検索体験そのものが大きく変わりました。検索結果の最上部でAIが直接答えを提示することで、ユーザーはリンクをクリックせずに満足するケースが急増しています。

この変化は、オウンドメディアにとって逆風である一方、戦略を見直せば大きなチャンスにもなります。本記事では、GEO(生成エンジン最適化)という新しい考え方や、指名検索・ブランド構築の重要性、国内外の具体的データや事例を踏まえながら、これからのオウンドメディアが取るべき道筋を整理します。

検索依存から脱却し、読者と長期的な関係を築くためのヒントを得たい方に、最後まで読んでいただきたい内容です。

Google AI Overviewsが検索行動とオウンドメディアにもたらした変化

Google AI Overviewsの本格展開によって、検索行動の前提そのものが大きく変わりました。従来は検索結果に並ぶリンクを比較し、複数サイトを回遊することが一般的でしたが、現在は検索結果の最上部に表示されるAIの要約回答だけで疑問を解消する行動が急速に広がっています。

この変化を象徴するのがゼロクリック検索の常態化です。Ahrefsの調査によれば、AI Overviewsが表示されるクエリではオーガニック流入が平均34.5%減少しています。さらにASCIIの調査では、検索ユーザーの約48.8%がAI回答のみを見て検索を終了しており、これは一時的な現象ではなく新しい検索の標準と捉えるべき状況です。

特に影響を受けているのは、「とは」「方法」「使い方」といった情報収集型クエリです。Bruce Clayのレポートでは、これらのクエリにおける上位サイトのCTR合計が7.31ポイント低下したと報告されています。オウンドメディアが長年積み上げてきたSEO成果が、AI要約によって直接代替されていることを示すデータと言えます。

変化の観点具体的な数値・傾向示唆
オーガニック流入-34.5%SEO流入の前提崩壊
ゼロクリック率48.8%検索完結行動の定着
AI回答の信頼度60.6%AIを前提とした意思決定

日本市場ではこの流れがより顕著です。AI回答を「信頼できる」と感じるユーザーが6割を超えており、正確性よりもスピードと手軽さを重視する傾向が強まっています。加えて10〜30代の若年層では、調べ物の起点がGoogle検索ではなく、SNSや生成AIに直接向かうケースが増えています。

  • 検索結果を読む前にAI要約で判断する
  • 複数サイトを比較しない
  • 深掘りは必要なときだけ行う

この結果、オウンドメディアは「検索流入を集める装置」から、「AIに参照される情報源」または「ユーザーが直接訪れたくなる存在」へと役割転換を迫られています。PVや順位だけを追う運用では、変化した検索行動と致命的なズレが生じます。

重要なポイント:AI Overviewsは検索行動を短絡化し、オウンドメディアの価値基準を「流入量」から「参照価値」へと不可逆的に変えています。

Googleが検索エンジンから回答エンジンへ進化した今、オウンドメディアもまた、その前提に合わせた存在意義の再定義が求められているのです。

ゼロクリック時代に顕在化するトラフィック減少の実態

ゼロクリック時代に顕在化するトラフィック減少の実態 のイメージ

AI Overviewsの本格展開によって、オウンドメディアのトラフィック減少は仮説ではなく、すでに数値として確認できる現実になっています。

従来は検索結果の上位に表示されれば、一定のクリック流入が見込めましたが、現在は検索結果そのものの役割が変質しています。

ユーザーはリンクを比較・選択する前に、検索画面上で答えを受け取ってしまうためです。

指標数値示している事実
オーガニック流入減少率-34.5%AIO表示クエリでの平均流入減
CTR低下幅-7.31pt情報収集系クエリ上位4サイト合計
ゼロクリック率48.8%AI回答のみで検索を終了

Ahrefsの分析によれば、AI Overviewsが表示される検索クエリでは、オーガニック検索からのアクセスが平均34.5%減少しています。

これは順位が下がったわけでも、競合に負けたわけでもなく、検索結果の上部でユーザーの疑問が完結してしまう構造が原因です。

特に影響を受けているのが、「とは」「方法」「いつ」といったインフォメーショナルクエリです。

Bruce Clayのレポートでは、情報収集目的の検索において、上位4サイトのCTR合計が7.31ポイント低下したと報告されています。

ユーザーが「概要だけ分かれば十分」と感じる検索では、詳細な記事への遷移が発生しにくくなっています。

結果として、真面目に書き込んだ解説記事ほど読まれないという逆説的な状況が生まれています。

重要なポイント:検索順位が維持されていても、AIO表示によって流入は静かに減少します。

さらに深刻なのは、ユーザー行動の変化が一過性ではない点です。

ASCIIの調査によれば、約48.8%のユーザーがAI回答を見てリンクを一切クリックせず検索を終了しています。

これは検索体験そのものが「調べに行く」から「教えてもらう」へ移行したことを示しています。

日本市場ではこの傾向がより顕著です。

同調査では、AIの回答を「信頼できる」と答えたユーザーが60.6%に達しています。

多少の不正確さよりも、速く要点が分かることを重視する姿勢が、ゼロクリックを後押ししています。

この変化は若年層ほど顕著で、10代から30代ではGoogle検索自体の利用比率が緩やかに低下しています。

検索の入口がSNSや生成AIに分散することで、オウンドメディアは「そもそも見つけられない」リスクにも直面しています。

トラフィック減少は、単なるSEO問題ではなく、検索エコシステム全体の再編がもたらす構造的な現象だと捉える必要があります。

  • 順位が維持されても流入は減る
  • 情報収集系コンテンツほど影響が大きい
  • 日本市場ではAI回答への信頼度が高い

GEO(生成エンジン最適化)とは何か、SEOとの決定的な違い

GEOとは、生成AIが検索結果上で直接回答を生成する時代に対応した最適化概念です。従来のSEOが検索順位を競う技術だったのに対し、GEOはAIにとって信頼できる情報源として選ばれることを目的にしています。GoogleのAI Overviewsでは、ユーザーの質問に対しAIが複数の情報源を統合して回答を提示するため、リンクの順位そのものが価値を持たない場面が急増しています。

Ahrefsの調査によれば、AI Overviewsが表示されるクエリではオーガニック流入が平均34.5%減少しています。つまり、SEOで1位を獲得していても、クリックされない可能性が現実化しているのです。この環境下では、AIの回答文そのものに引用・参照されるかどうかが、新たな可視性の分岐点になります。

SEOは「順位最適化」、GEOは「回答生成への関与」が本質的な違いです。

GEOでは、生成AIが採用するRAGと呼ばれる仕組みが重要になります。AIは検索結果から信頼度の高い情報を抽出し、再構成して回答を作ります。その際、構造が明確で、定義や数値、因果関係が整理されたコンテンツほど参照されやすいとされています。Fungryの分析でも、表や箇条書きを含むページがAIに引用されやすい傾向が示されています。

観点SEOGEO
主な対象検索アルゴリズム生成AIの回答生成
成果指標検索順位・CTRAI回答内での引用
重要要素被リンク・キーワード構造化・独自性・信頼性

さらに決定的な違いは評価軸です。SEOでは網羅性が重視されがちでしたが、GEOではInformation Gain、つまり他にはない新しい情報や視点が評価されます。Ranktrackerによれば、既存情報の焼き直しはAIによって統合されやすく、個別の情報源としての価値を失うとされています。

そのためGEOは、単なるテクニックではなく、コンテンツの思想そのものを問います。誰の、どんな一次情報なのか。なぜ信頼できるのか。これらを明確に示すことが、AIに選ばれる前提条件になります。SEOの延長線ではなく、検索体験が「回答」へ進化した結果生まれた、全く異なる最適化思想だと理解する必要があります。

AIに引用されるためのコンテンツ構造とInformation Gainの考え方

AIに引用されるためのコンテンツ構造とInformation Gainの考え方 のイメージ

AI Overviewsに引用されるためには、単に内容が正しいだけでは不十分です。AIが理解・抽出・再構成しやすいコンテンツ構造と、他にはない情報価値を示すInformation Gainの両立が不可欠です。生成AIは文章を流し読みするのではなく、質問に対する最適な断片を機械的に探し出します。その前提に立った設計が求められます。

まず重要なのが、回答単位で情報が整理されている構造です。Googleの公式見解やFungryの分析によれば、AIは見出し直下に結論があり、その根拠が簡潔に続く構成を好む傾向があります。長い前置きや抽象論が続くと、引用候補から外れやすくなります。

AIに引用されやすい構造の要点

  • 問いに対する結論や定義が冒頭で明示されている
  • 手順・条件・比較は文章ではなくリストや表で整理されている
  • 一文が過度に長くなく、意味が一意に解釈できる

特に表形式は効果的です。AI Overviewsでは、参照元ページの表がそのまま再構成されて表示されるケースが多く、項目と値の対応関係が明確な情報ほど引用されやすいとされています。

構造要素AIからの評価理由
結論先出し高い直接回答として抽出しやすい
箇条書き高い情報の分解と再利用が容易
長文段落低い要点抽出のコストが高い

次に重要なのがInformation Gainです。Ranktrackerが解説している通り、これは既存コンテンツと比べて、どれだけ新しい事実や独自の視点を提供しているかを示す概念です。AIOでは、似た情報はAI内部で統合され、個別の出典として表示されにくくなります。

他と同じことを書いている限り、AIにとって引用する意味はありません。

Information Gainを高める具体策として有効なのが、独自データ、現場視点、一次的な経験です。例えば自社で計測した数値、ユーザーへの独自アンケート、実務で得た失敗例や判断基準などは、生成AIが他所から補完できない情報になります。AhrefsやBruce Clayのデータを引用しつつ、自社の解釈や追加検証を加えるだけでも差別化になります。

構造化と独自性は別物ではありません。独自の気づきやデータを、AIが扱いやすい形で提示することが、AIO時代に引用されるコンテンツの本質です。網羅性を追うよりも、この一点に集中して設計することが、オウンドメディアの競争力を大きく左右します。

一次情報と独自性がオウンドメディアの価値を高める理由

AI Overviewsが普及する現在、オウンドメディアの価値を左右する最大の要因が、一次情報と独自性です。AIは既存情報の要約や統合を得意とする一方で、新たな事実や現場発の知見を自ら生み出すことはできません。そのため、他では得られない一次情報を持つメディアは、AI時代においてむしろ希少性を高めています

Googleが重視するとされるInformation Gain Scoreは、その象徴的な概念です。Ranktrackerによれば、この指標は「既存コンテンツに対してどれだけ新しい情報を付加しているか」を評価するもので、他記事の焼き直しではスコアが上がりません。AI Overviewsでは、似た内容の記事群は一つの回答にまとめられ、個別メディアとしての存在感を失います。

一方で、独自調査や一次データを含むコンテンツは、AIにとって代替不可能な情報源になります。AhrefsやFungryの分析でも、数値データや具体的事例を含むページは、AIO内で引用元として明示されやすい傾向が示されています。

情報の種類AIでの扱われ方メディア価値
二次情報(まとめ・解説)統合・要約されやすい低下しやすい
一次情報(調査・実測)引用元として残りやすい向上しやすい
実体験・現場知見文脈付きで参照されやすい高い

一次情報とは、必ずしも大規模調査である必要はありません。自社顧客へのアンケート、サポート現場で頻出する質問の傾向、施策の成功・失敗プロセスなども立派な一次情報です。Bruce Clayのレポートが示す通り、AIOの影響を強く受けるのは浅い情報ニーズであり、文脈を伴う深い情報ほどAIに吸収されにくいとされています。

また独自性は「情報の新しさ」だけではなく、「視点の独自性」も含みます。同じデータであっても、どのような仮説で切り取り、どんな示唆を導くかによって価値は大きく変わります。専門家や実務担当者のコメントを交えることで、AIでは再現できない判断プロセスや思考の背景が可視化されます。

  • 自社でしか持たないデータや経験を積極的に言語化する
  • 数値や事実に、解釈や示唆を必ず添える
  • 成功例だけでなく失敗例も含めて公開する

Switchitmaker2も、GEOの観点では「独自データ・一次取材・体験談」がAIからの信頼性評価を高めると指摘しています。これはE-E-A-TのExperienceにも直結し、長期的にはブランド想起や指名検索の増加にも寄与します。

一次情報と独自性は、AIに奪われるリスクを下げるだけでなく、AIに選ばれ、引用されるための最重要資産です。

オウンドメディアが目指すべきは、情報を整理する場所ではなく、情報が生まれる場所になることです。その立ち位置を確立できたメディアだけが、AIO時代においても価値を持ち続けます。

指名検索を増やすブランド戦略と統合マーケティング

AI Overviewsの普及によって一般検索からの流入が不安定化する中で、指名検索をいかに増やせるかは、オウンドメディアの生存戦略そのものになりつつあります。指名検索とは、ブランド名やメディア名、サービス名を含めて検索される行動であり、AIOが介在しても公式サイトへの導線が優先されやすい領域です。

PR TIMES MAGAZINEによれば、指名検索は一般検索と比べてCVRが高く、比較検討フェーズを超えた「選ばれた後」の行動である点が特徴とされています。つまり指名検索数の増加は、短期的な流入指標ではなく、中長期のブランド資産形成を反映するKPIだと捉えるべきです。

重要なポイント:AIO時代において指名検索は、検索エンジンの仕様変更やゼロクリックの影響を最も受けにくいトラフィック源です

この指名検索を増やすために不可欠なのが、オウンドメディア単体ではなく、複数チャネルを横断した統合マーケティングの発想です。検索だけでブランドは想起されません。接触頻度と文脈の積み重ねが必要です。

チャネル役割指名検索への影響
オウンドメディア専門性と信頼の蓄積想起理由をつくる
SNS接触頻度と共感名前を覚えさせる
PR・露出第三者評価検索行動を後押し

ホットリンクの調査では、SNS上でのブランド言及数と指名検索数には明確な相関があるとされています。特にXやYouTubeなどのプラットフォームで、メディア名が固有名詞として使われ始めると、Google検索でも同名ワードが増加する傾向が確認されています。

重要なのは、露出の内容をバラバラにしないことです。オウンドメディアで発信している主張やスタンスと、SNS、登壇、プレスリリースで語られる文脈が一致しているほど、ユーザーの記憶に残りやすくなります。これがAIが重視するエンティティ認識の強化にもつながります。

成功事例としてよく挙げられるLIGブログは、記事の有用性だけでなく、社員の顔や価値観を前面に出すことで「LIGっぽい情報」という独自ポジションを確立しました。その結果、記事単体ではなく、メディア名そのものが検索される状態を作り出しています。

指名検索を増やすために、オウンドメディア担当者が意識すべき観点を整理します。

  • メディア名やブランド名が会話の中で使われやすい設計になっているか
  • SNSや外部露出で一貫したメッセージを発信できているか
  • 検索される前の接触体験を十分に設計できているか

AIO時代のマーケティングでは、「検索で見つけてもらう」よりも「思い出して検索してもらう」設計が重要です。指名検索の増加は、SEOやGEOの成果を超えた、統合マーケティング全体の到達点だと言えます。

構造化データ・内部リンクで強化するテクニカルGEO

AI Overviews時代において、モニタリングと評価指標は「見るべき数字そのもの」を再定義しなければなりません。PVやセッション数は依然として参考値にはなりますが、**ゼロクリックが常態化した環境では成果を正しく反映しない指標**になりつつあります。

そのため、テクニカルGEOの文脈では「AIにどう認識され、どう引用され、ブランドとしてどう蓄積されているか」を測るKPI設計が不可欠です。Search Consoleや外部ツールを単なる順位確認で終わらせず、構造化データや内部リンクの成果を検証する視点が求められます。

特に重要なのが、指名検索・ブランド言及・AIO引用という三層構造での評価です。PR TIMESの解説によれば、指名検索数はブランド想起の最もシンプルかつ再現性の高い指標とされています。

指標カテゴリ主なKPI評価できる価値
ブランド認知指名検索数検索エンジン外を含む想起力
生成AI評価AIO引用率・言及有無GEO施策の直接的成果
関係性の質滞在時間・再訪率ファン化・信頼度

とりわけAIO引用率は、従来のSEOには存在しなかった新指標です。Faber Companyが提供するミエルカSEOのAIOレポート機能のように、**自社コンテンツがAI Overviews内で言及・参照されているかを可視化するツール**が登場しています。

これにより、どの構造化データが引用に寄与しているのか、どの内部リンク構造が文脈理解を助けているのかを検証できるようになりました。GEOは「やりっぱなし」では成立せず、必ず計測と改善がセットになります。

重要なポイント:AIO時代のKPIは「流入量」ではなく「AIとユーザーの記憶に残ったか」を測る指標へ移行します。

また、手動での定性チェックも依然として有効です。重要キーワードで実際に検索し、AIOが表示された場合に自社がどの位置・文脈で引用されているかを確認します。Fungryの報告によれば、引用元は必ずしも検索順位と連動しないため、**順位チェックだけではGEOの成否は判断できません**。

さらに興味深いのは、鈴木謙一氏が指摘するように、検索結果で手動対策を受けたページであってもAIOには引用され続けるケースがある点です。これは、AIが独自に「情報源としての価値」を評価している証左とも言えます。

こうした背景から、オウンドメディアの評価会議では、月次レポートに指名検索数・ブランド言及数・AIO引用状況を必ず含める運用が望まれます。**構造化データと内部リンクは、その成果を測定して初めてテクニカルGEOとして完成します**。

数値を追う目的は、減少を嘆くことではなく、AI時代における「勝ち筋」を発見することです。その視点を持てるかどうかが、オウンドメディアの次の成長曲線を左右します。

検索依存から脱却するコミュニティ型オウンドメディアへの進化

検索依存から脱却するための最も本質的なアプローチが、オウンドメディアのコミュニティ化です。AI Overviewsの普及により、情報収集型の検索流入は構造的に減少しています。Ahrefsの調査で示されたように、AIO表示時には平均34.5%ものトラフィック減少が起きています。この環境下で、検索エンジンに集客を委ね続けること自体が、事業リスクになりつつあります。

そこで重要になるのが、検索を介さずにユーザーが自ら訪れる関係性の構築です。オウンドメディアを単なる記事置き場ではなく、人が集まり、交流し、知見を共有する場へと進化させることで、集客の主導権を自社に取り戻せます。**コミュニティはアルゴリズム変更の影響を受けにくい、極めて強固な資産**です。

重要なポイント:検索流入は借り物、コミュニティは自社資産です

実際に国内では、コミュニティ型オウンドメディアが成果を上げています。SmartHRが運営する「PARK」は、人事担当者同士が実務の悩みを共有できる場として機能しています。同社によれば、ユーザー同士の横のつながりが生まれることで、プロダクト理解と信頼が深まり、結果としてLTVの向上に寄与しています。ここでは記事そのものよりも、参加体験そのものが価値を生んでいます。

コミュニティ型メディアでは、KPIも変わります。PVや検索順位ではなく、再訪率や参加率が重要指標になります。ASCIIの調査が示すように、日本ではAI回答への信頼度が60.6%と高く、浅い情報はAIで完結しがちです。だからこそ、人との対話や経験共有といったAIが代替できない価値が差別化要因になります。

比較軸検索依存型コミュニティ型
主な流入経路検索エンジン直接訪問・指名
関係性一過性継続的
外部変動耐性低い高い

コミュニティ化を進める際は、いきなり大規模な仕組みを作る必要はありません。記事へのコメント欄、会員限定のニュースレター、オンラインイベントなど、小さな参加導線を積み重ねることが重要です。**読むだけの読者を、関わる参加者へと変えていく設計**が、検索依存から脱却する鍵になります。

  • 検索流入減少は構造的変化と捉える
  • 人と人のつながりを価値の中心に据える
  • 再訪と参加を評価軸に置く

オウンドメディアがコミュニティとして機能し始めた瞬間、ユーザーにとっての位置づけは「調べる場所」から「所属する場所」へと変わります。この転換こそが、AIO時代における最も強力な検索依存脱却戦略です。

PVに代わる新しいKPIとAI Overviews時代の成果測定

AI Overviewsの普及により、オウンドメディアの成果をPVだけで評価することは現実的ではなくなりました。AIOが検索結果の最上部で回答を完結させることで、ユーザーの理解や意思決定に貢献していても、クリックされないケースが急増しているためです。Ahrefsの調査でも、AIO表示時はオーガニック流入が平均34.5%減少すると報告されています。

この環境下で重要なのは、「読まれたか」ではなく「影響を与えたか」を測る視点です。Google検索はもはや流入装置ではなく、ブランドや専門性を想起させる接点になりつつあります。そのためKPIも、量から質、短期から中長期へと再設計する必要があります。

PVは結果指標の一つに過ぎず、AIO時代の本質的なKPIは“認知・信頼・想起”をどれだけ獲得できたかです。

実務で特に重視すべきKPIは以下の通りです。

  • 指名検索数:ブランドやメディア名で検索された回数。PR TIMESなども、指名検索をブランド成長の最重要指標と位置づけています。
  • ブランド言及数:被リンクを伴わないSNSや記事内での言及。Faber Companyによれば、AIO内での引用・言及とも相関が見られます。
  • AIO引用有無・引用率:AI回答の生成元として選ばれたかどうか。順位とは独立した新しい可視性指標です。
  • エンゲージメント指標:滞在時間、回遊率、再訪率など。ファン化の度合いを測ります。

これらを従来指標と対比すると、評価軸の違いが明確になります。

分類従来KPIAIO時代KPI
流入PV・セッション数指名検索数・ダイレクト流入
可視性検索順位AIO引用・ブランド言及
直帰率滞在時間・再訪率

特に注意したいのは、検索順位が下がってもAIOには引用され続けるケースが存在する点です。鈴木謙一氏も、手動対策を受けたページがAIOに表示され続ける事例を紹介しており、ランキングとAI評価は必ずしも連動しません。

そのため、Search ConsoleやGAだけでなく、AIO表示そのものを定点観測する運用が欠かせません。自社の重要クエリでどのような回答が生成され、どの文脈で名前が出ているかを確認することが、次の改善アクションに直結します。

PVが減ったかどうかではなく、「AIとユーザーの記憶に残ったか」。この問いに答えられるKPI設計こそが、AI Overviews時代のオウンドメディア成果測定の核心です。