オウンドメディアを運営しているのに、問い合わせや商談につながらないと感じていませんか。
月間PVは伸びているのに、営業部門からは「使えるリードが来ない」と言われ、成果を説明できずに悩む責任者の方も多いはずです。実際、2025年のBtoBマーケティング環境では、認知獲得よりも売上や商談といった実益が強く求められるようになっています。
さらに生成AIの普及により、情報そのものの価値は下がり、オウンドメディアの存在意義が問われる時代に入りました。その一方で、営業活動の前段階で顧客の意思決定を支える役割として、オウンドメディアの重要性はむしろ高まっています。
本記事では、PV至上主義から脱却し、営業部門が本当に喜ぶ「成果につながるオウンドメディア」へと進化させるための考え方と設計の全体像を整理します。KPI設計、コンテンツの考え方、組織連携までを体系的に理解することで、メディア運用を事業成長に直結させるヒントが得られるはずです。
2025年のBtoBマーケティング環境とオウンドメディアの役割変化
2025年のBtoBマーケティング環境は、投資意欲の堅調さとは裏腹に、成果に対する要求水準が一段と引き上げられています。コムエクスポジアム・ジャパンの調査では、約32%の企業が広告・マーケティング予算を増加予定と回答する一方で、**その使い道は認知獲得ではなく、売上や商談といった実益に直結する施策へと明確にシフトしています**。
この変化の中で、オウンドメディアは「やっていて当たり前」の存在から、「本当に事業に貢献しているのか」を厳しく問われる存在へと立場を変えました。月間数十万PVを誇っていても、営業現場から「使えるリードが来ない」と評価されれば、その価値は疑問視されます。**PVは成果ではなく、もはや前提条件にすぎない**という認識が、経営層・営業層の共通理解になりつつあります。
背景にあるのが、ペイドメディアの限界です。サードパーティCookie規制やCPCの高騰により、広告依存型のリード獲得は費用対効果が悪化しています。その結果、企業は長期的に価値が蓄積され、自社でコントロール可能なオウンドメディアを「防衛的かつ戦略的な資産」として再評価しています。
| 観点 | 従来のオウンドメディア | 2025年以降に求められる姿 |
|---|---|---|
| 主目的 | 認知拡大・集客 | 商談創出・売上貢献 |
| 評価指標 | PV・検索順位 | 商談化率・受注貢献額 |
| 社内評価 | マーケ部門内で完結 | 営業からの実用評価 |
加えて、HubSpotの調査が示すように、BtoBバイヤーの多くは営業担当と接触する前に情報収集や比較検討の大半をデジタル上で終えています。**営業が関与できないこの時間帯に、意思決定へ影響を与えられる数少ない手段がオウンドメディアです**。単なる情報提供ではなく、検討を前に進める設計が求められています。
さらに生成AIの普及により、用語解説や一般論といった情報は急速にコモディティ化しています。専門家の間では、価値が失われるのはオウンドメディアそのものではなく、「独自性や信頼を欠いたコンテンツ運用」だと指摘されています。一次情報や現場の暗黙知、企業としての姿勢が感じられる発信こそが、AI時代における競争力となります。
つまり2025年のオウンドメディアは、集客装置でも広報ブログでもなく、**顧客の意思決定を支援し、営業成果を底上げする経営資産**として再定義されるフェーズに入っています。この役割変化を正しく理解できるかどうかが、今後の成否を大きく左右します。
なぜPVが多くても問い合わせが増えないのか

オウンドメディアでPVが伸びているにもかかわらず、問い合わせが増えない最大の理由は、PVと問い合わせの間にある「意図の断絶」を見落としている点にあります。
多くのメディアは検索流入を最大化するために、用語解説や基礎知識といった情報収集フェーズ向けのコンテンツを量産します。その結果、HubSpotの調査が示すように、BtoBバイヤーの多くが「まだ検討段階に入っていない状態」で記事を読み、営業接点を持たないまま離脱していきます。
PVは増えても、そこに含まれるのは学生、競合調査、一般的な情報収集層が大半であり、問い合わせを発生させる前提条件である「課題の切迫度」や「決裁関与度」が不足しているケースがほとんどです。
| 指標 | PV重視型メディア | 問い合わせが増えるメディア |
|---|---|---|
| 主な読者 | 情報収集層・初心者 | 比較検討・導入検討層 |
| 検索意図 | Knowクエリ中心 | Do・Buyクエリ中心 |
| 営業貢献 | ほぼなし | 商談化に直結 |
さらに見逃されがちなのが、コンテンツとCTAの文脈不一致です。WACULの分析でも指摘されている通り、記事内容と無関係な「お問い合わせはこちら」を設置しても、CVRはほとんど改善しません。
例えば「〇〇とは」という概念解説を読んだ直後の読者は、まだ比較や価格を知りたい段階に至っていません。この状態で問い合わせを求めること自体が、接客として不自然なのです。
- 情報収集段階の読者に、いきなり商談を求めている
- 営業フェーズに進むための中間ステップが設計されていない
その結果、PVは増えても問い合わせ導線が機能せず、数字だけが積み上がる状態に陥ります。マーケティング部門は成果を出しているつもりでも、営業部門からは「使えないリードばかり」という評価を受けやすくなります。
実際、BOXILのように比較・料金・おすすめといった取引意図の高いテーマに注力しているメディアでは、PV自体は爆発的でなくとも、商談化率が他チャネルの数倍に達する事例が報告されています。
つまり問題は集客力ではなく、PVの中身と設計思想です。PVを増やすこと自体が目的化した瞬間、オウンドメディアは問い合わせを生まない構造に固定されてしまいます。
営業とマーケティングを分断する「リードの質」の問題
オウンドメディアを運営していると、マーケティング側では「リード数は順調に増えている」という手応えがある一方で、営業側からは「使えるリードが少ない」という不満が噴出しがちです。この摩擦の正体が、営業とマーケティングを分断する「リードの質」の問題です。
HubSpotの調査によれば、BtoBのランディングページ平均CVRは10%未満にとどまり、そこから商談・受注に至るまでに多くのリードが脱落します。つまり、数を集めるだけでは成果につながらず、**どの段階の誰をリードとして定義するか**が極めて重要になります。
| 視点 | マーケティングの認識 | 営業の認識 |
|---|---|---|
| リードの定義 | フォーム送信・資料DL | 商談化の可能性が高い企業 |
| 重視指標 | MQL数・CV数 | SQL数・受注確度 |
| NGリード | 一定数は仕方ない | 時間を奪うだけ |
マーケティングがMQLをKPIとして追い過ぎると、学生や競合調査目的の担当者まで「成果」としてカウントされます。一方、営業は今月・今四半期の数字を背負っており、検討度の低いリードへの対応は機会損失に直結します。この認識のズレが続くと、営業は次第にメディア経由リードを信用しなくなり、いわゆる「リードの墓場」が生まれます。
重要なのは、リードを一括りにせず「今すぐ客」「育成すべき客」「将来客」に分解する視点です。米国のBtoBマーケティング研究でも、営業に即連携すべきリードは全体の一部に過ぎず、多くはナーチャリングを前提に扱うべきだと指摘されています。
例えば、料金ページや導入事例を複数回閲覧した企業と、用語解説記事だけを読んだユーザーでは、営業対応の優先度は大きく異なります。これを区別せずに渡してしまうことが、質が悪いという評価につながります。
- 営業が求めるのは「今、話す理由があるリード」
- マーケティングが担うべきは「話せる状態まで育てること」
この役割分担を明確にしない限り、どれだけPVやCVが増えても断絶は解消されません。オウンドメディアは集客装置ではなく、**営業が動きやすい状態をつくる前工程**であるという認識を、両部門で共有することが、リードの質問題を解く第一歩になります。
PV至上主義を捨てるためのKPI設計の考え方

PV至上主義から脱却するために最初に見直すべきなのが、KPI設計の思想そのものです。PVは分かりやすく、伸びれば達成感もありますが、**PVは事業成果を保証しない指標**である点を直視する必要があります。実際、HubSpotの調査では、BtoBマーケターの41%以上がコンテンツの成功指標として売上を重視していると報告されており、評価軸はすでに次の段階へ移行しています。
重要なのは、KPIを「メディアの成績表」ではなく「営業パイプラインの一部」として設計する視点です。PVはあくまで最下流の参考値に位置づけ、**営業成果に近づくほど重要度が高まる階層構造**を作ることが求められます。
| 指標レイヤー | 代表的なKPI | 評価の意味 |
|---|---|---|
| 最終成果 | 受注貢献額・商談創出額 | 事業への直接的インパクト |
| 重要KPI | 有効商談数・商談化率 | 営業が動く価値のあるリードか |
| 中間KPI | 資料DL数・SQL到達率 | 検討フェーズへの進行度 |
| 参考指標 | PV・セッション数 | 接触母数の大きさ |
この構造に変えるだけで、会議の会話は大きく変わります。PVが何万あったかではなく、**「今月はメディア経由で何件の有効商談を作れたか」**が共通言語になるためです。The Model型の分業プロセスを提唱する専門家も、マーケティングはパイプライン創出まで責任を持つべきだと繰り返し指摘しています。
また、KPI設計で見落とされがちなのが「質」をどう数値化するかです。例えば、才流が提唱する考え方では、1リードあたりの想定価値を算出し、商材単価から逆算してKPIを設計します。高単価BtoB商材であれば、月に数件の商談でも十分にROIが合うため、PVを追いかける合理性は一気に下がります。
- 営業が「今すぐ話したい」と感じるリードか
- 決裁者・予算・課題が見えているか
- 商談化までのリードタイムが短いか
これらを満たす指標をKPIに据えることで、コンテンツの企画基準も自然と変わります。初心者向けの網羅記事よりも、導入検討者向けの比較記事や意思決定を後押しする解説記事が評価されるようになります。
KPIを変えることは、評価軸を変えることです。評価軸が変われば、作るコンテンツも、関わる人の意識も変わります。
PV至上主義を捨てるとは、PVを一切見ないという意味ではありません。PVを「目的」から「手段」に格下げし、最終的に営業と同じゴールを見ることです。その設計ができた瞬間、オウンドメディアは数字遊びの場ではなく、事業成長に耐えうる本物の資産へと変わります。
営業に貢献するオウンドメディアのコンテンツ分類
営業に貢献するオウンドメディアを実現するためには、コンテンツを感覚ではなく「役割」で分類し、戦略的に配置することが不可欠です。PVを生む記事と、商談を前に進める記事は本質的に役割が異なります。この違いを理解せずに量産を続けると、アクセスは増えても営業成果にはつながりません。
近年のBtoBマーケティング研究やHubSpotの調査でも、購買検討の大半は営業接触前にオンラインで完結すると指摘されています。つまりオウンドメディアは、営業の代わりに顧客の意思決定を支援する「無言の営業担当」として機能する必要があります。そのためには、検討段階ごとに適切なコンテンツを用意する発想が重要です。
営業貢献度の観点で整理すると、オウンドメディアのコンテンツは大きく4つに分類できます。それぞれの役割と営業との関係性を整理すると、次のようになります。
| 分類 | 主な目的 | 営業への貢献 |
|---|---|---|
| 集客コンテンツ | 潜在層との接点創出 | 認知拡大、リード母数の形成 |
| 信頼構築コンテンツ | 専門性・信頼性の証明 | 指名検索増加、比較検討への前進 |
| 検討支援・クロージングコンテンツ | 意思決定の後押し | 商談化率・受注率の向上 |
| 既存顧客向けコンテンツ | 継続利用・関係深化 | LTV向上、アップセル支援 |
特に営業部門が「使える」と評価するのは、検討支援・クロージングコンテンツです。SmartCampが運営するBOXIL Magazineでは、価格・機能・導入条件を網羅した比較記事を整備することで、商談化率が他チャネルの約3倍に高まったと報告されています。顧客の社内稟議や比較検討を助ける情報は、そのまま営業資料として機能するためです。
一方で、集客コンテンツも不要になるわけではありません。用語解説や業界トレンド記事は、将来顧客との最初の接点をつくる重要な役割を担います。ただし比率を誤ると「読まれて終わり」のメディアになります。成功企業では、全体の4割程度に抑え、残りを信頼構築と検討支援に振り分けています。
信頼構築コンテンツでは、独自調査や専門家の知見が特に効果的です。生成AI時代において、一次情報や現場の暗黙知は希少性が高く、Googleの品質評価指針でも専門性と信頼性が重視されています。誰でも書ける記事から、あなたの会社にしか書けない記事へという転換が、営業貢献度を大きく左右します。
既存顧客向けコンテンツも見逃せません。活用ガイドや成功事例の深掘りは、カスタマーサクセスと連動し、アップセルや紹介を生み出します。マネーフォワードやSmartHRでは、既存顧客向けの情報発信が結果的に営業の追加提案を後押ししていると指摘されています。
重要なのは、これら4分類を均等に作ることではありません。自社の商材単価、営業プロセス、顧客の検討期間に応じて構成比を設計することです。コンテンツ分類を営業プロセスと結びつけて初めて、オウンドメディアは「成果が説明できる営業資産」へと進化します。
導入事例・比較記事が営業武器になる理由
導入事例や比較記事が営業武器として機能する最大の理由は、顧客の意思決定プロセスの中核に直接入り込めるコンテンツだからです。BtoB購買では、担当者が情報収集を終えた後、「社内説明」「稟議」「比較検討」という関門が待っています。この局面で求められるのは情緒的な訴求ではなく、合理的に説明できる材料です。
HubSpotの調査によれば、BtoBバイヤーの多くは営業と接触する前に検討プロセスの大半を終えており、特に比較・事例コンテンツは最終判断に近い段階で参照される傾向が強いとされています。つまり、これらの記事は単なる集客装置ではなく、営業が介在できない時間を補完する「代理営業資料」として機能します。
| コンテンツ種別 | 顧客側の利用シーン | 営業への具体的効果 |
|---|---|---|
| 導入事例 | 自社への当てはめ・稟議説明 | 信頼獲得、失注理由の事前潰し |
| 比較記事 | 競合検討・最終選定 | 商談短縮、価格交渉の主導権確保 |
導入事例が強力なのは、第三者の成功体験を通じて「自分たちも成功できる」という確信を与える点にあります。SmartHRや才流などの成功企業は、成果だけでなく意思決定の葛藤や導入時の失敗も含めて開示しています。これにより、読者は単なる成功談ではなく、現実的なプロセスとして理解でき、営業が説明しなくても納得が進みます。
一方、比較記事は「中立性」が最大の武器です。SmartCampが運営するBOXIL Magazineでは、機能や価格、向いている企業規模を表形式で整理し、特定サービスを過度に持ち上げません。その結果、読者からの信頼を獲得し、比較検討を終えた状態での高品質なリードを営業に供給しています。実際、同社では比較記事経由のリードが他チャネルより高い商談化率を示しています。
具体的には以下の観点が欠かせません。
- 数字で語れる成果(工数削減率、コスト削減額、売上貢献)
- 競合との違いが一目で分かる整理
- 想定される反論への先回り回答
これらを満たした記事は、営業がPDFやスライドを作り直す必要がなく、URLを送るだけで商談を前に進められます。結果として営業の工数が削減され、マーケティングは「使えるコンテンツを作る部署」として評価されます。導入事例・比較記事は、オウンドメディアを営業資産へ昇華させる最短距離にあるコンテンツだと言えます。
MAとスコアリングで実現するリードの選別
オウンドメディア経由のリードの質を高める上で、MAとスコアリングは欠かせない基盤です。単に問い合わせ数を増やすのではなく、**営業が今すぐ向き合うべきリードだけを選別する仕組み**を作ることが、このセクションの核心です。
HubSpotの調査によれば、BtoBの平均的な商談化率は10%未満にとどまります。これは裏を返せば、9割以上のリードはその時点で営業対応に適していない可能性があるということです。MAは、この「まだ早い層」と「今が適切な層」を行動データで見極めるために活用します。
スコアリング設計で重要なのは、属性と行動を分けて考えることです。役職や企業規模といった変わりにくい要素と、ページ閲覧や資料ダウンロードといった検討度を示す要素を組み合わせることで、リードの温度感が立体的に把握できます。
| 評価軸 | 具体例 | 判断できること |
|---|---|---|
| 属性 | 部長職、従業員500名以上 | 決裁権・予算規模の可能性 |
| 行動 | 料金ページ閲覧、事例記事読了 | 検討フェーズの深さ |
| 頻度 | 短期間で複数回訪問 | 課題の緊急性 |
実務では、特定の合計点数を超えた時点で営業に通知する運用が一般的です。マクロミルが公開している事例では、スコア100点を基準に設定した企業が商談化率を約1.7倍に改善しています。**重要なのは点数そのものより、営業と合意した基準であること**です。
また、通知の仕方も成果を大きく左右します。単なる「スコア到達」のアラートではなく、「どの記事を読み、なぜ今アプローチすべきか」という文脈を添えることで、インサイドセールスの初動が変わります。Salesforceの思想でも、行動履歴に基づくコンテキスト共有が成約率向上に寄与するとされています。
最後に忘れてはならないのが継続的なチューニングです。営業から「このスコアは高いが刺さらなかった」というフィードバックを受け、配点を見直すことで精度は高まります。**MAとスコアリングは一度作って終わりではなく、営業と共に育てる仕組み**として運用していくことが、リード選別を成功させる鍵になります。
UI/UX改善が問い合わせ数に与える影響
UI/UX改善は、オウンドメディアにおける問い合わせ数を左右する極めて実践的なレバーです。なぜなら、UI/UXは流入数を増やす施策ではなく、すでに関心を持って訪問している見込み客の行動を後押しし、成果に転換するための仕組みだからです。
WACULが公開しているBtoBサイト分析では、広告投資による新規流入の増加よりも、既存流入に対するCVR改善のほうがROIが高いケースが多いと示されています。特にBtoBでは意思決定に慎重なユーザーが多く、UI/UXのわずかなストレスが「今回はやめておこう」という判断につながりやすい点が特徴です。
UI/UX改善は、ユーザーの不安や手間を減らし、次の一歩を踏み出させるための設計だと捉える必要があります。
| UI/UX要素 | ユーザー心理への影響 | 問い合わせへの効果 |
|---|---|---|
| CTAの文脈適合 | 自分向けの提案だと感じる | クリック率向上 |
| フォーム簡素化 | 面倒・営業されそうという不安軽減 | 完了率向上 |
| 導線の明確化 | 迷わず検討フェーズに進める | 直帰率低下 |
問い合わせ数に直結しやすい代表的なUI/UX改善が、記事内容に連動したCTAの設計です。マネーフォワードのBtoBメディアでは、記事テーマごとに資料や次のアクションを出し分けることで、自然な流れでリードを獲得しています。これは「売り込み」ではなく、「続きが知りたい」という読者の心理に寄り添った結果だと言えます。
また、入力フォームのUXは問い合わせ数に直接的な影響を与えます。HubSpotをはじめとしたマーケティングプラットフォームの知見でも、BtoBサイトでは入力項目が増えるほどCVRが下がる傾向が一貫して示されています。初回接点で多くを求めすぎないことが、結果的に商談数を増やす近道です。
- 必須項目は最小限に抑える
- 入力の目的を明確に伝える
- 送信後の流れを事前に示す
さらに重要なのが、比較・事例・価格といった検討フェーズの情報へスムーズに到達できる導線設計です。BtoBのユーザーは記事を読み終えた後、「自社の場合はどうか」「他社と比べてどうか」を知りたがります。その欲求を満たせずトップページへ戻してしまうと、離脱の可能性が一気に高まります。
UI/UX改善はデザインの美しさではなく、意思決定を前に進めるための設計です。問い合わせ数が伸び悩んでいるメディアほど、流入施策より先にUI/UXを見直すことで、短期間でも明確な成果差が生まれやすくなります。
成功企業に学ぶオウンドメディア活用の共通点
成果を出しているオウンドメディアには、業界や企業規模を超えて共通する考え方があります。それは「メディアをマーケティング施策ではなく、事業インフラとして設計している点」です。SmartHRやBOXIL、マネーフォワードなどの成功企業は、記事単体の出来栄えよりも、意思決定にどう寄与するかを起点にメディア全体を設計しています。
第一の共通点は、**営業プロセスの中にオウンドメディアを明確に組み込んでいること**です。HubSpotの調査でも、BtoBバイヤーの多くは営業接触前に情報収集を終えており、メディアが担う役割は「比較検討の場」へと進化しています。成功企業では、営業担当が商談中にURLを共有することを前提に、比較表や導入事例、ROI算出などの実務的コンテンツを充実させています。
第二に、**一次情報や独自データを軸に信頼を積み上げている点**が挙げられます。生成AI時代において一般論は価値を持ちにくくなりましたが、自社調査や現場知見は代替できません。SmartHRが法改正対応の実務フローを詳細に公開しているように、「ここまで出すのか」と思わせる深度が、結果的に指名検索や高品質な問い合わせにつながっています。
| 共通点 | 具体的な取り組み | 事業への効果 |
|---|---|---|
| 営業連携 | 商談で使える記事・資料設計 | 商談化率の向上 |
| 一次情報重視 | 独自調査・実務ノウハウ公開 | 信頼と指名検索の増加 |
| KPIの統一 | PVより商談・受注貢献を評価 | 社内合意形成の加速 |
第三の共通点は、**KPIをPVではなく事業成果で統一していること**です。コムエクスポジアム・ジャパンの調査が示す通り、企業の期待値は認知から実益へ移行しています。成功企業では「月間PVが何万あるか」ではなく、「メディア経由でいくらのパイプラインを創出したか」が会話の中心です。この共通言語があるからこそ、営業・経営層との連携が機能します。
最後に重要なのは、**メディアを短期施策として扱わない姿勢**です。BOXILのように比較コンテンツを継続的に改善し続ける企業は、検索アルゴリズムや市場変化にも耐えうる資産を築いています。オウンドメディアを「育てるもの」と捉え、信頼と実務価値を積み重ねている点こそが、成功企業に共通する本質だと言えるでしょう。
営業が喜ぶメディアへ転換するための実践ステップ
営業が喜ぶメディアへ転換するためには、考え方だけでなく具体的な実践ステップに落とし込むことが不可欠です。特に重要なのは、メディア運用をマーケティング部門内で完結させず、営業活動のプロセスに組み込むことです。HubSpotの調査によれば、営業とマーケティングが強く連携している企業は、そうでない企業と比べて成長率が高い傾向にあるとされています。
最初のステップは、営業現場の一次情報を体系的に吸い上げることです。トップ営業やインサイドセールスにヒアリングを行い、「成約しやすい顧客の共通点」「失注理由」「商談で必ず出る質問」を洗い出します。**この情報こそが、営業支援型コンテンツの原石**になります。
- 商談でよく聞かれる質問を記事テーマにする
- 失注理由を解消する解説・比較コンテンツを作る
- 成約事例を再現性のある形で言語化する
次に取り組むべきは、コンテンツと営業アクションを結びつける導線設計です。BOXILやマネーフォワードの事例でも見られるように、検討フェーズの読者には「比較」「料金」「事例」への明確な動線を用意することで、商談化率が大きく向上します。単なるお問い合わせボタンではなく、文脈に合ったCTAが求められます。
| 読者の状態 | 有効なコンテンツ | 営業への効果 |
|---|---|---|
| 情報収集中 | 課題解説・チェックリスト | ナーチャリングの起点 |
| 比較検討中 | 他社比較・導入事例 | 商談化率向上 |
| 導入直前 | ROI・価格解説 | クロージング支援 |
三つ目のステップは、営業が「使いたくなる」状態を作ることです。SmartHRの取り組みが示すように、記事内の図解やフレームワークを営業資料に転用できるように設計すると、営業部門の協力度が一気に高まります。**営業の工数を減らすメディアは、自然と評価されます**。
最後に欠かせないのが、成果の可視化と共有です。PVや検索順位ではなく、「メディア経由で何件の商談が生まれたか」「どの記事が受注に貢献したか」を定期的に営業と共有します。専門家の間でも、SLAを通じた共通KPIの設定が部門間の断絶を解消すると指摘されています。
これらのステップを愚直に回すことで、オウンドメディアは集客装置から営業の武器へと変わります。**営業成果に直結する体験を積み重ねることが、営業が心から喜ぶメディアへの最短ルートです**。
参考文献
- PR TIMES:2025年に広告・マーケティング予算を増加予定の企業は32.3%。注力施策は「生成AIの活用」「顧客ロイヤルティ向上」など
- Web担当者Forum:2025年の広告・マーケティング予算は「増やす」が約3割、「変わらない」が約6割で停滞ぎみ?
- HubSpot:2025 Marketing Statistics, Trends & Data
- MarkeZine:SmartHRのコンテンツマーケティング部が、少数精鋭で「編集力で事業貢献」できる理由とは
- SEVEN DEX:【2025年最新版】BtoB企業のオウンドメディア成功事例10選
- WACUL:AIアナリスト運営から見えたB2BサイトでCVR改善に効く施策研究
